|【その1】|【その2】|【その3】|
『ハンネローレの貴族院五年生』2巻と共に発売されるドラマCD2のアフレコレポです。 本編と違って「ハンネローレ」は刊行期間が空いていることもあり、今のところ1巻ごとにドラマCDがついています。
脚本の國澤さんとは「エピソードが少なければ2枚組にせず1枚に収めても構いませんよ」と話をしていましたが、今回も2枚組です。一つのエピソードにかなり尺を割けることもあり、「どこを削る?」と頭を悩ませることもありません。ゆとりは大事。
1日目
今回のアフレコも私や鈴華さんはリモート参加です。 私はいつも通り自宅の仕事場でiPadを使って聞いています。
○梅田修一朗さん
今回のアフレコはオルトヴィーン役の梅田修一朗さんの収録から始まりました。
オルトヴィーンの出番が多いです。このドラマCDではハンネローレに次いで台詞が多いんじゃないかな? 結構重要な会話が多いのでオルトヴィーンはできればハンネローレと一緒に収録して欲しかったのですが、スケジュールが合わないのであれば仕方ありません。
「おはようございます。よろしくお願いします」
本日の収録は一人だけなので、梅田さんが到着するとすぐにアフレコ開始です。 前回収録したサンプルを聞いて声を確認します。その中で何度も「ハンネローレ様」と練習していました。
「最初のページだけテストをしたら、その後は録りながら進めるから」
音響監督さんの指示に合わせてテストからです。
「先生、どうですか?」 「OKです。これで進めてください」
軽くテストしたらどんどん収録を進めていきます。
「婚約打診はワンワードでお願いします」 「アウブ・ダンケルフェルガーの発音が違うな」 「ドレヴァンヒェルの発音はこっちで」
いくつかの指摘をしながら収録は進みます。
「先生、気になるところはありました?」 「○ページ、前半は今の感じでいいけど、後半はもう少し冷静に。立て直した感じが欲しいです。それだけですね」
演技自体はほとんど指摘することがありませんでしたが、「ハンネローレ様」が結構言い難いのか、何度も言い直していた梅田さん。私はそれほど気にならなかったのですが、ちょっと「ハンネローネ」に寄りがちだったようです。 何度か間違えた後、オルトヴィーンの声のまま「ハンネロー……あぁ~、ごめんなさい、ハンネローレ様!」って謝罪を叫ばれて、めちゃくちゃ笑いました。
あとは、口説き文句で次々と神様の名前が出てくるところにちょっと苦戦していました。 ごめんなさい。めちゃくちゃ言い難いセリフを作ったの、私です! でも、大丈夫。できたドラマCDを聞いたらキュンとするから。
個人的には『ハンネローレの貴族院五年生』2巻に書き下ろしたエピローグ部分のオルトヴィーンがお気に入りです。ハンネローレとの会話だけではなく、筆頭側仕えと会話する時の素の顔、アドルフィーネとの会話で出てくる弟の顔、側近に見せる主としての顔、様々なオルトヴィーンの魅力を声付きでご堪能ください。
2日目
○大原さやかさん、上田燿司さん、豊口めぐみさん
2日目はまずコルドゥラ役の大原さやかさん、アウブ・ダンケルフェルガー役の上田燿司さん、ジークリンデ役の豊口めぐみさんの収録から始まります。
そうそう、書籍ではアウブ・ダンケルフェルガーにヴェルデクラフという名前がつきましたが、ドラマCDでは今後もずっと「アウブ・ダンケルフェルガー役」のままです。 それというのも、以前にユルゲンシュミット国王をトラオクヴァールの個人名に修正した際、別キャラと認識される行き違いが起こってアフレコ中に大変だったことがあるのですよ。キャラ名としては長いけれど、同一キャラとしてのわかりやすさを優先して個人名に変更はしません。
「じゃあ、コルドゥラさんの声の確認から」
以前に収録した声を確認し、軽くテストする中で大原さんから質問を受けました。
「早急の読み方はさっきゅう? そうきゅう? どちらでしょう?」 「そうきゅうでお願いします」
それから収録が始まります。 順調に収録が進んでいましたが、突然沈黙が流れました。○ページにもコルドゥラのセリフがあるはずなのに先に進みません。
「……おーい、○ページもセリフあるよ」 「○ページ? え? ×ページまでしかない!」
「ハンネローレ」のように前後編になると、台本が分厚くて荷物になります。特に1日の内にあちらこちらのスタジオに向かう方はいくつのも台本を持って移動しなければならないわけですから。 そういう時に出番が多くない方が自分のセリフのある部分だけを抜粋することって結構あるんです。……で、抜粋する時にちょっと失敗したり、キャラ名ではなく一同など思わぬ出番があったりして「台本がない!」になるパターンも時々あるんですよ。 こういう場合はスタッフや他の方に借りて進めることになります。
「○ページ、後半は制止の雰囲気を強く出してください」 「×ページ、イントネーションがちょっと怪しかったな。もう一回くれる?」 「△ページですが、一同の中にコルドゥラもいます。声をください」 「○ページ、すみません。こちらのミスです。『姫』が足りてません。『ハンネローレ姫様』に修正してください」
脚本の中で「ハンネローレ様」になっているところを発見して私が指摘すると、鈴華さんからも追加の指摘がきました。
「あの、×ページもハンネローレ様になってますよ」 「うぁ! そっちも修正で! コルドゥラからハンネローレへの呼びかけは『ハンネローレ姫様』もしくは『姫様』でお願いします」
その後は別ページのミスも大原さんが自主的に直してくれました。ありがとうございます。
後編はアウブ・ダンケルフェルガーとジークリンデの会話から始まります。前回収録した二人の声を確認してから収録です。 声を確認した後、ジークリンデ役の豊口さんから質問がありました。
「あの、すみません。○ページの『どうでしょう?』はおかしくないですか?ハンネローレのモノローグを受けているように見えますが……」
ひとまずそのまま収録してもらうことになったものの、確かに繋がりがおかしいんですよね。収録が始まる中、私は急いでPCで書籍の文章を確認します。これはリモートの利点ですね。スタジオと違って手元に資料が全部あるので確認が簡単。
「ドラマCDの脚本ではモノローグになっていますが、書籍では普通のセリフです。豊口さんのおっしゃる通り、心の声に反応しているみたいで今のままだと繋がりが良くないです。『どうでしょう?』はカットした方がいいと思います」 「了解です。カットできそう?」
音響監督さんの確認に録音助手さんから「大丈夫です」と声が返ってきました。 それ以外に修正してほしい気になる部分についてもコントロールルームで話し合います。
「○ページのアウブ・ダンケルフェルガーは領地対抗戦のイントネーションが違いませんでした?」 「×ページのジークリンデのドレヴァンヒェルの発音が怪しいな。あと、ジギスヴァルトがジギスヴァルドに聞こえた」 「△ページのアウブ・ダンケルフェルガー。『元王族』ですね。『元貴族』って言っていました」
修正点を洗い出してから音響監督さんがスタジオに声をかけます。一旦収録を終えて修正点について話し合う間、声優さんはスタジオ内で会話したりその先の台本を読んだりしているそうです。そして、修正のために呼ばれるのが最も緊張する……と。
「ジークリンデさん」 「ひぇっ! わたしだぁ~」 「そう、あなた(笑)」
修正時に呼ばれたら「ひぇっ」となる豊口さんの反応が可愛かったです。
ちょこちょこと修正する部分はありましたが、収録自体はすんなり終わりました。 お疲れ様でした。
サインと写真撮影を終えた方から帰り、次の人達が入ってきます。
○長谷川育美さん、遠藤大智さん、竹内良太さん
次はリーゼレータ役、幼いレスティラウト役、ラオフェレーグの側近1の長谷川育美さん、ベアルコート役の遠藤大智さん、ルーフェン役の竹内良太さんの収録です。
ベアルコートはドラマCDでも書籍でも初登場のキャラ、オルトヴィーンの筆頭側仕えです。エピローグに出てくるのでお楽しみに。
「始めるか。あ、先生。ラオフェレーグの側近って何歳?」 「えーと、学生なので十代前半から半ばです」
長谷川さんがラオフェレーグの側近のセリフを口にしますが、明らかに女性の声です。
「ここは男性の声ですが……」 「もっと男声にできる?」 「あ、男なんですね」
それですぐに男の子の声になるんです。すごいね。 可愛いリーゼレータの声と全然違います。
「リーゼレータの声の確認をします」 「はい、お願いします」
リーゼレータの声を確認したら収録です。 ローゼマインを心配する筆頭側仕えらしい演技に頷いている間にリーゼレータの出番は終わりました。
「次はルーフェンか。サンプル出る?」 「幼いレスティラウトも前回収録しているのでサンプルありますよ」
録音助手さんがルーフェンと幼いレスティラウトの声を出してくれ、それを確認して収録開始です。
「○ページのルーフェン。ここは周囲に向かって言ってくれる?」
これだけの指示で、近くにいる一人に向かって言っている感じから大勢に向かって言う声に変わりました。遠くまで声が通る感じになるんです。 声優さん、マジですごいですよね。
「最後はベアルコートか」
初めてのキャラだから声の確認からです。音響監督さんの指示に合わせてベアルコート役の遠藤大智さんが2,3のセリフを読んでくれます。
「先生、どうですか?」 「うーん、ちょっと騎士っぽい? 前に出すぎている感じで強いんですよね。筆頭側仕えなので、何というか、執事成分を足してください」 「執事成分……」
ちょっと困ったように言った音響監督さんが遠藤さんに出した指示がこれ。
「あ~……。もうちょっと仕える感じで。一歩引いた雰囲気を心掛けてくれる?」
旦那に言わせると、私の説明を上手く声優さん達に伝えてくれる音響監督さんがすごいらしいですよ。ぐぬぅ。執事成分でも通じるよ!……多分。
声ができたら収録を進めていきます。
「○ページのベアルコート。驚きが強すぎます。もっとオルトヴィーンを労る感じの響きが欲しいです。いっそ驚きを抜いてくれても構いません」 「×ページ、こちらです。もう一度ください」
ベアルコートの収録でアフレコ終了です。
「お疲れ様でした。サインと写真撮影をお願いします」 「香月さん、鈴華さん、次の収録まで30分くらい時間があります。少しゆっくりしてください」 「はーい」
休憩と言いつつ、その時間に少しお仕事の話が入るのはいつものこと。 今回お話ししたのはレッサーくんのぬいぐるみの布について。 SHIBUYA TSUTAYA IP書店で飾られているシュバルツ&ヴァイスが四月の終わりからレッサーくんになるのです。使用する布の見本が送られてきたので、それに関するお話を少ししました。 このアフレコレポが公開される頃にはもう飾られているのではないでしょうか。でっかいレッサーくんのぬいぐるみが飾られるのが楽しみです。
「本好きの下剋上 ハンネローレの貴族院五年生」ドラマCD2
アフレコレポート【その1】
|【その1】|【その2】|【その3】|
『ハンネローレの貴族院五年生』2巻と共に発売されるドラマCD2のアフレコレポです。
本編と違って「ハンネローレ」は刊行期間が空いていることもあり、今のところ1巻ごとにドラマCDがついています。
脚本の國澤さんとは「エピソードが少なければ2枚組にせず1枚に収めても構いませんよ」と話をしていましたが、今回も2枚組です。一つのエピソードにかなり尺を割けることもあり、「どこを削る?」と頭を悩ませることもありません。ゆとりは大事。
1日目
今回のアフレコも私や鈴華さんはリモート参加です。
私はいつも通り自宅の仕事場でiPadを使って聞いています。
○梅田修一朗さん
今回のアフレコはオルトヴィーン役の梅田修一朗さんの収録から始まりました。
オルトヴィーンの出番が多いです。このドラマCDではハンネローレに次いで台詞が多いんじゃないかな? 結構重要な会話が多いのでオルトヴィーンはできればハンネローレと一緒に収録して欲しかったのですが、スケジュールが合わないのであれば仕方ありません。
「おはようございます。よろしくお願いします」
本日の収録は一人だけなので、梅田さんが到着するとすぐにアフレコ開始です。
前回収録したサンプルを聞いて声を確認します。その中で何度も「ハンネローレ様」と練習していました。
「最初のページだけテストをしたら、その後は録りながら進めるから」
音響監督さんの指示に合わせてテストからです。
「先生、どうですか?」
「OKです。これで進めてください」
軽くテストしたらどんどん収録を進めていきます。
「婚約打診はワンワードでお願いします」
「アウブ・ダンケルフェルガーの発音が違うな」
「ドレヴァンヒェルの発音はこっちで」
いくつかの指摘をしながら収録は進みます。
「先生、気になるところはありました?」
「○ページ、前半は今の感じでいいけど、後半はもう少し冷静に。立て直した感じが欲しいです。それだけですね」
演技自体はほとんど指摘することがありませんでしたが、「ハンネローレ様」が結構言い難いのか、何度も言い直していた梅田さん。私はそれほど気にならなかったのですが、ちょっと「ハンネローネ」に寄りがちだったようです。
何度か間違えた後、オルトヴィーンの声のまま「ハンネロー……あぁ~、ごめんなさい、ハンネローレ様!」って謝罪を叫ばれて、めちゃくちゃ笑いました。
あとは、口説き文句で次々と神様の名前が出てくるところにちょっと苦戦していました。
ごめんなさい。めちゃくちゃ言い難いセリフを作ったの、私です!
でも、大丈夫。できたドラマCDを聞いたらキュンとするから。
個人的には『ハンネローレの貴族院五年生』2巻に書き下ろしたエピローグ部分のオルトヴィーンがお気に入りです。ハンネローレとの会話だけではなく、筆頭側仕えと会話する時の素の顔、アドルフィーネとの会話で出てくる弟の顔、側近に見せる主としての顔、様々なオルトヴィーンの魅力を声付きでご堪能ください。
2日目
○大原さやかさん、上田燿司さん、豊口めぐみさん
2日目はまずコルドゥラ役の大原さやかさん、アウブ・ダンケルフェルガー役の上田燿司さん、ジークリンデ役の豊口めぐみさんの収録から始まります。
そうそう、書籍ではアウブ・ダンケルフェルガーにヴェルデクラフという名前がつきましたが、ドラマCDでは今後もずっと「アウブ・ダンケルフェルガー役」のままです。
それというのも、以前にユルゲンシュミット国王をトラオクヴァールの個人名に修正した際、別キャラと認識される行き違いが起こってアフレコ中に大変だったことがあるのですよ。キャラ名としては長いけれど、同一キャラとしてのわかりやすさを優先して個人名に変更はしません。
「じゃあ、コルドゥラさんの声の確認から」
以前に収録した声を確認し、軽くテストする中で大原さんから質問を受けました。
「早急の読み方はさっきゅう? そうきゅう? どちらでしょう?」
「そうきゅうでお願いします」
それから収録が始まります。
順調に収録が進んでいましたが、突然沈黙が流れました。○ページにもコルドゥラのセリフがあるはずなのに先に進みません。
「……おーい、○ページもセリフあるよ」
「○ページ? え? ×ページまでしかない!」
「ハンネローレ」のように前後編になると、台本が分厚くて荷物になります。特に1日の内にあちらこちらのスタジオに向かう方はいくつのも台本を持って移動しなければならないわけですから。
そういう時に出番が多くない方が自分のセリフのある部分だけを抜粋することって結構あるんです。……で、抜粋する時にちょっと失敗したり、キャラ名ではなく一同など思わぬ出番があったりして「台本がない!」になるパターンも時々あるんですよ。
こういう場合はスタッフや他の方に借りて進めることになります。
「○ページ、後半は制止の雰囲気を強く出してください」
「×ページ、イントネーションがちょっと怪しかったな。もう一回くれる?」
「△ページですが、一同の中にコルドゥラもいます。声をください」
「○ページ、すみません。こちらのミスです。『姫』が足りてません。『ハンネローレ姫様』に修正してください」
脚本の中で「ハンネローレ様」になっているところを発見して私が指摘すると、鈴華さんからも追加の指摘がきました。
「あの、×ページもハンネローレ様になってますよ」
「うぁ! そっちも修正で! コルドゥラからハンネローレへの呼びかけは『ハンネローレ姫様』もしくは『姫様』でお願いします」
その後は別ページのミスも大原さんが自主的に直してくれました。ありがとうございます。
後編はアウブ・ダンケルフェルガーとジークリンデの会話から始まります。前回収録した二人の声を確認してから収録です。
声を確認した後、ジークリンデ役の豊口さんから質問がありました。
「あの、すみません。○ページの『どうでしょう?』はおかしくないですか?ハンネローレのモノローグを受けているように見えますが……」
ひとまずそのまま収録してもらうことになったものの、確かに繋がりがおかしいんですよね。収録が始まる中、私は急いでPCで書籍の文章を確認します。これはリモートの利点ですね。スタジオと違って手元に資料が全部あるので確認が簡単。
「ドラマCDの脚本ではモノローグになっていますが、書籍では普通のセリフです。豊口さんのおっしゃる通り、心の声に反応しているみたいで今のままだと繋がりが良くないです。『どうでしょう?』はカットした方がいいと思います」
「了解です。カットできそう?」
音響監督さんの確認に録音助手さんから「大丈夫です」と声が返ってきました。
それ以外に修正してほしい気になる部分についてもコントロールルームで話し合います。
「○ページのアウブ・ダンケルフェルガーは領地対抗戦のイントネーションが違いませんでした?」
「×ページのジークリンデのドレヴァンヒェルの発音が怪しいな。あと、ジギスヴァルトがジギスヴァルドに聞こえた」
「△ページのアウブ・ダンケルフェルガー。『元王族』ですね。『元貴族』って言っていました」
修正点を洗い出してから音響監督さんがスタジオに声をかけます。一旦収録を終えて修正点について話し合う間、声優さんはスタジオ内で会話したりその先の台本を読んだりしているそうです。そして、修正のために呼ばれるのが最も緊張する……と。
「ジークリンデさん」
「ひぇっ! わたしだぁ~」
「そう、あなた(笑)」
修正時に呼ばれたら「ひぇっ」となる豊口さんの反応が可愛かったです。
ちょこちょこと修正する部分はありましたが、収録自体はすんなり終わりました。
お疲れ様でした。
サインと写真撮影を終えた方から帰り、次の人達が入ってきます。
○長谷川育美さん、遠藤大智さん、竹内良太さん
次はリーゼレータ役、幼いレスティラウト役、ラオフェレーグの側近1の長谷川育美さん、ベアルコート役の遠藤大智さん、ルーフェン役の竹内良太さんの収録です。
ベアルコートはドラマCDでも書籍でも初登場のキャラ、オルトヴィーンの筆頭側仕えです。エピローグに出てくるのでお楽しみに。
「始めるか。あ、先生。ラオフェレーグの側近って何歳?」
「えーと、学生なので十代前半から半ばです」
長谷川さんがラオフェレーグの側近のセリフを口にしますが、明らかに女性の声です。
「ここは男性の声ですが……」
「もっと男声にできる?」
「あ、男なんですね」
それですぐに男の子の声になるんです。すごいね。
可愛いリーゼレータの声と全然違います。
「リーゼレータの声の確認をします」
「はい、お願いします」
リーゼレータの声を確認したら収録です。
ローゼマインを心配する筆頭側仕えらしい演技に頷いている間にリーゼレータの出番は終わりました。
「次はルーフェンか。サンプル出る?」
「幼いレスティラウトも前回収録しているのでサンプルありますよ」
録音助手さんがルーフェンと幼いレスティラウトの声を出してくれ、それを確認して収録開始です。
「○ページのルーフェン。ここは周囲に向かって言ってくれる?」
これだけの指示で、近くにいる一人に向かって言っている感じから大勢に向かって言う声に変わりました。遠くまで声が通る感じになるんです。
声優さん、マジですごいですよね。
「最後はベアルコートか」
初めてのキャラだから声の確認からです。音響監督さんの指示に合わせてベアルコート役の遠藤大智さんが2,3のセリフを読んでくれます。
「先生、どうですか?」
「うーん、ちょっと騎士っぽい? 前に出すぎている感じで強いんですよね。筆頭側仕えなので、何というか、執事成分を足してください」
「執事成分……」
ちょっと困ったように言った音響監督さんが遠藤さんに出した指示がこれ。
「あ~……。もうちょっと仕える感じで。一歩引いた雰囲気を心掛けてくれる?」
旦那に言わせると、私の説明を上手く声優さん達に伝えてくれる音響監督さんがすごいらしいですよ。ぐぬぅ。執事成分でも通じるよ!……多分。
声ができたら収録を進めていきます。
「○ページのベアルコート。驚きが強すぎます。もっとオルトヴィーンを労る感じの響きが欲しいです。いっそ驚きを抜いてくれても構いません」
「×ページ、こちらです。もう一度ください」
ベアルコートの収録でアフレコ終了です。
「お疲れ様でした。サインと写真撮影をお願いします」
「香月さん、鈴華さん、次の収録まで30分くらい時間があります。少しゆっくりしてください」
「はーい」
休憩と言いつつ、その時間に少しお仕事の話が入るのはいつものこと。
今回お話ししたのはレッサーくんのぬいぐるみの布について。
SHIBUYA TSUTAYA IP書店で飾られているシュバルツ&ヴァイスが四月の終わりからレッサーくんになるのです。使用する布の見本が送られてきたので、それに関するお話を少ししました。
このアフレコレポが公開される頃にはもう飾られているのではないでしょうか。でっかいレッサーくんのぬいぐるみが飾られるのが楽しみです。
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