STORY04

ティアムーン帝国物語

やりたい企画が盛り沢山! 無我夢中に突き進む!
コミカライズに舞台化、グッズ展開などなど盛り沢山!
担当編集×原作者に書籍化の経緯や日々の作品作りについて教えてもらいました。

― コミカライズやグッズなど、メディア展開について教えてください。

M.F:そういえば、漫画版の“ナレーション”が評判良いですよね。

餅月:ああ、あの。あれだけでもコミカライズしてくれて良かったって思います。

M.F:ミーアの本心を知っているのは、語り部である餅月さんとナレーションだけなんですよね。みんながミーアを崇めて感動している瞬間にただ一人ツッコんでいるのが、ナレーション。小説では地の文でやっているんですけど、漫画だと可視化される分、より際立っていますね。

餅月:酷評ですよね(笑)。

M.F:このナレーションがミーアに対して毒舌というか、熾烈なんですね。とてもハマりましたね。なんかギャグマンガとしても読めるというか。これを当初、外すという案もあったんですよね。でも、絶対に必要だと思っていたので赤字を戻して、ありで進むことになりました。
この件については、この間、漫画家さんと握手しました。あれ絶対必要ですよね。餅月さんも気にされてたポイントですもんね?外しちゃっていいのかなって。

餅月:ナレーションのツッコミがいいからテンポも良くなっていますからね。

M.F:そうですね、オチが分かりやすくて最高です(笑)。例えば、この「マジギレである」とか(笑)(注:コミックス1巻をめくりながら)。
ちなみにコミカライズの経緯についてですが、ほかの作品と違って、立ち上げ当初にはまだTOブックスのコミックスチームが新設したばかりで、まだ機能できていなかったんです。なので、編集プロダクションの方々と一緒に協力関係でやっています。原作の窓口である私は、主に餅月さんへの連絡とチェックが中心です。
それとは別にコミックスの担当がいて編プロさんの編集さんもいて、漫画家さんとやり取りをしています。実質、コミカライズには3人の編集が関わっています。

餅月:そんなに多くの方が? ありがとうございます。知らなかった(笑)。

M.F:人数こそ多いですが、かなりスピ―ディーに進めていますね。漫画家の杜乃さんのロスにならないように意識しています。関係する編集者全員で話し合うというよりは、あくまで各フローを繋ぐ一本の道としての役割を担っています。

餅月:舞台企画やグッズもそうなんですか?常に新しい企画を提案してくれているので、とても新鮮な気持ちで毎度の打ち合わせに臨めます(笑)。

M.F:舞台チームはまた別です。企画製作部という主に音響周りのお仕事を担当してくれているチームが社内にあります。コミカライズと同じように舞台のプロデューサーをはじめ外部の制作チームをとりまとめて繋いでくれています。
グッズもですが、企画元は私、編集個人からだったり、実際に商品を作ってくれる商品企画だったりと様々です。面白そうな話は常に歓迎していますね(笑)。餅月さんにSSをいっぱい書いていただいていることもあり、TOブックスオンラインストア書籍はおかげさまで好評です。乙女ゲームのゲームブック風に揃えたオンラインストアと電子特典のSSは、まさに餅月さんの案でした。
選んだ分岐でエンディングのお話が変わるという趣旨なんですけど、面白い仕様になっています。ミーアの行動ごとにストーリーが分岐していて、複数のエンディングが読める。いつかゲームブックだけで本とか出したいですね、と言っていましたが、気づけばそう遠くない未来になりそうな気もします(笑)。

餅月:6巻のTOブックスオンラインストア特典(小冊子)はかなり豪華ですよね、挿絵も入ってるし……。

M.F:そうなんですよ、書籍パッケージをデザインいただいている名和田耕平デザイン事務所さんに小冊子も手掛けてもらって。めちゃめちゃ豪華です。
8巻では、なんとオンラインストアSSに「オーディオブック」が付いています!これも餅月さんが、ぽろっと零してくださったアイデアが実現した形です(笑)。QRコードで読み込むと声優さんの声でも聴けるし、もちろん紙でも読めるし。あと、オーディオブックにはなっていないお話ももう1本、収録されてますね。

餅月:オーディオブックは、朗読担当の斎藤楓子さんがとても上手い。評判がすごく良くて嬉しいです。

M.F:面白いですよね。ミーアをボイスで聴くというのが、舞台よりもオーディオブックが先だったんですよね。舞台のキャスティングで、もしミーア役の平松さんの演技がイメージと違ったらどうしよう……って感じだったんですけど、ドンピシャで(笑)。演者さんたちの凄さを実感しました。

餅月:読者さんもイメージ通りという声が多かったですね。

M.F:そうですね。イメージが外れてるって感想は今まで見たことないですね。今までのグッズ展開でも、特に聞かないです。今度は何作りましょうかね?(笑)。
コミカライズの人気キャラクターでギロチンくんっていうのが連載で人気があって、今では公式キャラになってますね。原作のイラストレーターのGilseさんもお気に入りです。原作では、7巻で逆輸入していただきました(笑)。
やりたいことがいっぱいで追いつかない。ドラマCDも発売したし、次は……。

餅月:いっぱいだ(笑)。

― イラストはどのようにして決めていますか?

M.F:Gilseさんにどんなイラストを描いてもらうか、毎回練りに練っています。

餅月:ファンの方たちがいつも楽しみにしてくれていますね。

M.F:やっぱり読者さんが嬉しい絵をつけたいですね。いつも頂いた原稿を拝読してテーマはこれだ!と決めて発注書にしたものを餅月さんに見て頂いて、気になるところを教えて頂いています。

餅月:そうですね。私も一緒になって悩んでいます。webで先に話を読んでる人も多いので、その人たちが喜ぶ絵を付けてあげないと商品として成り立たないのではと不安になってしまいまして……。
「小説家になろう」発の作品の場合は特に。普通の本とは考え方が違うんだと思っています。

M.F:イラスト発注のときになにか意識されたことはありますか?

餅月:7巻の口絵は、ここを口絵にしてもらおう!と意識して原稿を書いていたシーンですね。

M.F:最高のたまらないシーンだし、実際描いていただいた絵もすごいいい。新刊の8巻の口絵も、読者さんからもぜひ絵で見たいと声があったシーンなんですよね。当初は別のもので考えていたんですが、結果的に変えて良かったなと思います。
Web発で書籍にするときは読者の声をいかに汲み取るか、webで盛り上がるかが大事だと思っています。昨年の5月はコミックスと小説が同時発売だったので、餅月さんがリンクした書き下ろしSSを書いてくだったり。とてもありがたいです。

― 餅月さんから見て、担当編集(M.F)はどんな印象ですか?

M.F:改まって聞くのも怖いですが……(笑)。

餅月:とても仕事しやすい編集さんだなと思っています。
ちゃんと話が出来るというか打ち合わせがいつもスムーズですね。会話のキャッチボールがちゃんと胸に返ってくる感じ(笑)。とても気を遣ってくれてるんだなと感じます。指示も適切でセンスをすごく感じる。特に挿絵の発注は素敵ですね。原稿への指摘がとても具体的なのも助かります。とても信頼しています。

M.F:今日はとてもいい会ですね……(笑)。普段こんなに褒められることはないので、びっくりしました。餅月さんの言葉だけで、次の10年頑張れそうです。
餅月さんもコミュニケーションがすごくとれる作家さんなので、メールだけでも意思疎通が出来て話を進められるところがすごいありがたいです。電話をしないと進まなかったり、連絡が取れなかったりする方も中にはいらっしゃいますので。餅月さんは、物語の構造をしっかり考えて意図的に書かれる方。なので、そういう意味では、原稿に具体的な指摘をしやすいのかもしれない。
それに、ずっと書き続けられる力を持っていらっしゃる。だから、定期的に刊行できているのもあるかもしれません。イラストのGilseさんもこの作品が本当にお好きで、スケジュールもかなり前から確保させてもらっています。

餅月:2巻終わったくらいに1日おきに書き続けてもらえますかと釘を刺された記憶があります(笑)。

M.F:Webでは新しく高校生編の第五部が始まったところなので楽しみです!まだまだ終わらせないでくださいね(笑)。

餅月:もうちょっとだけ……。

― 編集者を志す方へメッセージをお願いします!

M.F:編集者はすごく夢中になれる仕事だと思います。ただ、仕事とプライベートの境界がグレーになっていく感じの仕事です。無我夢中になれる反面、やってることはすごく地味な裏方作業。ただただ企画する、原稿を読む、打ち合わせる、校正する、イラスト発注書を作る、販促案を練るって感じなので、そんな華やかな感じではないですね。自分が目立ちたい!という人は向いていないかもしれないです。
究極の裏方仕事なので来てもらってもあまりの地味さにがっかりされないか一番の心配です(笑)。石の上にも3年みたいな気持ちで来てもらえる人であれば良いのかな。3年ぐらい校正しながら企画出すくらいの気持ちで、それでもやりたいという人は向いているかもしれないですね。
これからも刊行点数を増やしていくので、一緒にお仕事する仲間をぜひ募集しています!
頑張りますTOブックス!

※インタビューは2022年4月現在の情報です。