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香月美夜「本好きの下剋上」ドラマCD8アフレコレポート【その3】

香月美夜「本好きの下剋上」ドラマCD8
アフレコレポート【その3】

【その1】【その2】【その3】【その4】

3日目は渡辺明乃さん、諸星すみれさん、内田雄馬さん、田村睦心さん、本渡楓さん、長縄まりあさんです。

○渡辺明乃さん、諸星すみれさん

渡辺明乃さんはフラウレルム軍団とヴェローニカ役で、諸星すみれさんはハンネローレ役とレオノーレ役、フロレンツィア役を演じてくださいます。
ちなみに、フラウレルム軍団とはフラウレルム、フラウレルムの妹、フラウレルムの姪の三人分です。

「あ~、フラウレルム軍団から行くか。順番に収録していくから……」
「大丈夫です。全部いっぺんに演じるつもりで来ました!」

……え? そんなことができるんですか?

ポカーンとする私や「すごい意気込みだな」と驚く音響さん達に対してやってくれました。フラウレルム軍団の演じ分け。
「んまぁ! んまぁ!」とうるさいフラウレルム軍団。なのに、ちょっとずつ全部違うんですよ。すごい!

それから、ヴェローニカの声を作りました。

「先生、ヴェローニカってどんな感じのキャラ?」
「50代後半のイメージで、気位が高くてちょっとヒステリックな貴族女性です。ただ、ここは回想シーンなので○ページは20代、×ページは30代前半、△ページ以降は30代後半という感じで声を変えてほしいです」

渡辺さんはそれでピタッと声を作ってくださいました。
文句なし。素晴らしいです。

諸星さんはハンネローレとレオノーレのサンプルボイスを確認します。

「うーん、ハンネローレの年齢が前回より下がってるような気がしません?」
「ちょっとだけ、年齢を気持ち上げて。前回と揃えるくらいに」

ハンネローレの声を微調整して収録開始です。

「○ページ、戦いの勢いをもう少し入れてほしいです。中央突破中なので、勢いを先に収録しているコルネリウスに合わせてください」
「×ページ、領主一族はワンワードで」
「△ページ、ここはもうちょっと強さが欲しいです」

細かい修正だけでどんどんと進んでいきます。

「あの、○ページなんですけれど、興奮気味にちょっと早口にって、できますか?」

恐る恐るお伺いを立ててしまうのは、ハンネローレの恋愛フィルターを感じさせるには大事なセリフだけれど、読みにくいカタカナの神様の名前がずらずらと並ぶ上に結構長いセリフだからです。
しかし、諸星さんはお見事でした。
つまらずスラッと! エアヴァクレーレン、ユーゲライゼ、フォルスエルンテを全てクリア!
すごい!

「わぁ! ×ページ、祝詞の一部が消えてます!」
「え?」
「ちょっと待ってください。正しい祝詞、正しい祝詞……」

普通はコピペするので祝詞が間違っていることはないのですが、読み方を書き込む時に消えたようです。慌てて祝詞の修正をしました。

「先生、△ページってこんな感じでOK?」
「多分、大丈夫だと思います」

いつもは主役であるローゼマインの収録が先にあって、それに他の方が合わせるため、少し感覚がつかめないところもありましたが、概ね問題なく進んでいきます。

「おいおい、ハンネローレとレオノーレの会話があるぞ」
「うわぁ……。しかも結構長いですね」

仮縫いのシーンではローゼマイン、ハンネローレ、レオノーレの会話が続きます。音響さん達が頭を抱えていますが、仕方ありません。さすがのキャスティングの担当さんもそこまで先の内容を考えてキャスティングしませんから。だって、ハンネローレとレオノーレのキャスティングはドラマCD3だから2019年ですよ。え? もう3年前? 時の女神の糸紡ぎが早すぎない?
心配されていたシーンでしたが、諸星さんは難なく演じてくださいました。
本当に上手いです。

そして、最後はフロレンツィア役です。セリフ数は多くないのですが、諸星さんが普段演じているキャラを考えると、年齢が上めなキャラです。

「先生、フロレンツィアって何歳?」
「30代半ばのおっとりとした貴族女性です。諸星さんならば大丈夫だと思います。以前に聞いた声が割とイメージに近かったので」

少しの調整の後、貴族女性らしいフロレンツィアの声ができました。
ありがとうございます。

○内田雄馬さん

内田雄馬さんはハルトムート役です。
暗躍はしているのですが、あまり表に出ないのでハルトムートのセリフは少なめでした。

「あ、○ページ、もうちょっと事務的にしてください。それはローゼマインに言うセリフじゃないので」

テンションの調整だけで収録もすぐに終わります。
内田さんは敵の騎士3、神殿の騎士7でモブ役にも協力してくださいましたが、そちらもすぐに終了。

「収録よりサインと写真を撮る方に時間がかかってないか?」
「いつものことでは?」

音響さん達の会話からも必殺仕事人という雰囲気が伝わってきました。

○田村睦心さん

田村睦心さんはルッツ役とブリギッテ役です。

アニメで収録していたので、特にサンプルボイスもなく声の確認を始めます。

「あれ? ルッツの声が幼く聞こえます。前のドラマCDでは成長させていたはずなので、年齢を上げてください」
「うーん、年齢を上げたらブリギッテの声と被りません?」
「男と女では違うのでは?」
「とりあえず先にブリギッテの声を確認してみるか」

音響監督さんが田村さんに確認します。

「悪いけど、ちょっとブリギッテをどういう感じでやるつもりか演じてみて。○ページのセリフで」
「はい」
「声の確認をしたいだけだから、収録はしないから」

田村さんのブリギッテはルッツとは全く方向性が違ったので全く問題なしです。ルッツの年齢を上げていただいて収録開始しました。

「○ページ、紙作り、『つくり』じゃなくて『づくり』と読んでください」
「×ページ、もうちょっと興奮した感じが欲しいですね」

ルッツが終わると、ブリギッテです。
ブリギッテは先程演じていただいた声で、収録開始です。
イメージ通りの凜々しくてカッコいいお姉さんになっています。
特に問題なく収録が終わりました。

「孤児の声もよろしく。少年声でください」

モブの声を含めても、あっという間に終了。
お疲れ様でした。

○本渡楓さん

本渡楓さんはアンゲリカ役です。
予定では本渡楓さんと長縄まりあさんが同時に収録だったのですが、本渡さんの到着が早かったので別々で収録することになりました。

「収録のシーンが被らないから先に収録してもいいんじゃないか?」
「そうですね。セリフ数も少ないので……」

音響さん達の判断でアンゲリカのサンプルボイスを確認して早速収録が始まります。
本当にセリフ数が少ないので会話の収録はあっという間に終わり。その後は戦闘シーンに入れるアクションやアドリブなどを録っていきます。

「○ページの叫び声と×ページの掛け声もお願いします。ここはアンゲリカが護衛騎士として側にいるので」
「了解」

戦闘シーンの掛け声をいくつか追加していただいて収録は終わりました。

○長縄まりあさん

長縄まりあさんはグレーティア役です。
前回に収録したサンプルボイスを聞いて、声の調整から始めました。

「ん~? グレーティアがちょっと可愛すぎます」
「可愛すぎるとは?」
「テンションが高めというか、キャピキャピしてるというか、元気が良すぎるというか……」

エーレンフェスト防衛戦の辺りのグレーティアは城内での旧ヴェローニカ派貴族への視線や風当たりが強くて、主には見せないようにしていてもピリピリしているので、どうしても明るい雰囲気にはならないんですよね。

「声質より演じ方かな? もっと性格暗めでお願いできませんか?」
「性格暗めですか? わかりました」

修正いただいて収録開始です。
収録自体は特に問題なく終わりました。

こうして3日目のアフレコは無事に終了。
4日目は井口裕香さん(後編)、梅原裕一郎さんです。

○井口裕香さん(後編)

ローゼマイン役の井口裕香さん、今回は後編を収録していきます。
先日収録したところなので、特にサンプルボイスもなく収録を始めようとしたところで「前編ではどのくらい大人の声を出したのか、確認させてもらって良いですか?」と井口さんからお願いがありました。
なるほど。前編と後編で声がズレていたら気になりますよね。

「ん? ゲルラッハの発音が他の方と違いません?」
「違うな。ゲルラッハな」

どうやらゲルラッハの発音を違って覚えていたようで、修正に少し苦戦していました。

「すみません。○ページ、マティアスへの呼びかけが多すぎるので一つ削除してください」
「×ページ、偽者ゲオルギーネはワンワードで」
「△ページ、信用したくてもできない空気を優先してください」
「○ページ、ここは不審そうな感じではなく、勢いに押された感じでお願いします」

こうして修正点を話し合う中には、演じている井口さんではなく音響さんにお願いすることも出てきます。

「あ、そうだ。○ページのセリフ、原作では盗聴防止の魔術具を使った会話なので、何か効果とか加工が必要ならよろしくお願いします」
「了解」

大変だったのは、「せーの」で始める長台詞、神様の名前が入った祝詞でしょうか。
先に収録している声に綺麗に合わせるだけではなく、今回は死者への祈りを感じさせる祝詞にしなければならないので、やはり難しそうです。
その分、見事に合った時には拍手してしまいますね。
素晴らしい! パチパチ。

【その1】【その2】【その3】【その4】

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