本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~

香月美夜「本好きの下剋上」ドラマCD5アフレコレポート【後 編】

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○寺崎裕香さん

次はヴィルフリート役とユーディット役を演じてくださる寺崎さんです。
今回は準主役となるヴィルフリートのセリフがやや多め。

「○ページ、ここから対決に繋がるので、最後はもっと強めでお願いします」
「ゲドゥルリーヒがゲルドゥリーヒになってました」
「すみません。ここの一人称は『わたくし』ではなく『私』でください」

ヴィルフリートの「守るのだ」のセリフで裏返ってしまい、「あぁ、すみません!」と謝る様子が個人的にはめちゃくちゃユーディットっぽくて可愛いなぁって思っていました。
他は特に引っかかるところもなくスムーズに進んでいきました。

ヴィルフリートが終わると、ユーディットです。ユーディットはセリフが多くないので、すぐに終わりました。ユーディットの悲鳴が可愛いかったです。

ディッター部分のガヤ収録はヴィルフリートの声とユーディットの声で収録する部分があり、何度か「これをユーディットとヴィルフリートで」と二種類の悲鳴や雄叫びを入れていました。
こういう時の切り替えは本当にすごいと思います。



○内田雄馬さん

換気を終えると、内田さんが準備を始めました。ハルトムート役とレスティラウト役を演じてくださいます。

「ハルトムートとわかるように企む系のねちっこさをください」
「やり過ぎですが、方向性はそれでOKです」

そんなやり取りでハルトムートは終了です。セリフ数が少ないですし、内田さんも慣れていますから。(笑)

次は新しいキャラを作っていきます。ダンケルフェルガーの領主候補生レスティラウト。
今回のドラマCD5ではハンネローレやヴィルフリートと並ぶ準主役なのでセリフ数も多いです。

レスティラウトの声は一発OK。
強さと上位領地の領主候補生らしい傲慢さとカッコ良さが同居しています。

「えーと、『恐ろしいな』の『な』を削除してください」
「香月先生、こちらの『良い』は『いい』ですか? 『よい』ですか?」
「お貴族様は『よい』でお願いします」
「うーん、○ページ×行目『次期アウブ』の前に『私は』を入れてもらえません?」

修正点の話し合いをした後はどんどんと収録していきます。

「レスティラウト、カッコよかったですねぇ」

収録後、國澤さんがしみじみと言うのにも納得です。
だって、予想以上ですもの。声だけでレスティラウトのイケメン度が急上昇……。こんなにカッコよくなる予定ではなかった。そんな感じ。
作者として予言しておきます。これをレスティラウトのファンが聞いたら心臓を押さえてのたうち回って死ぬでしょう。



○井上和彦さん

内田さんと少し声優さん達の仕事状況について情報交換をした後、スタジオに入ったのは井上さん。ジルヴェスター役と中領地の騎士Aを演じてくださいました。

以前にもしてくださっているので、テストの声は問題なしです。神々の名前はやはり鬼門らしく、「あー……」となっていました。すみません。

「○ページ、『ハンネローレ』を『ハンネローネ』と読んでいませんか?」
「×ページはもっと周囲には聞こえないようにボソボソと……。会議中に上司に対してこっそり悪態を吐くような感じでお願いしたいです」
「あ、台本の修正をお願いします。×ページ、『お初にお目にかかります』と書かれていますが、お初じゃないです」

私の声に國澤さんが「え? ジークリンデは初登場ですよね?」と丸くしました。確かに本編に出てきたのは初めてなんですよ。

「ローゼマインは初めましてですが、ジルヴェスターは領主会議で毎年顔を合わせていますから」
「あ!」

ふぅ、気付いてよかった。危ない、危ない。こういう些細な部分は何となく台本を見ていても流れとしては自然なので気付かないんですよね。

ジルヴェスターの収録が終わると、中領地の騎士Aの収録です。一日目の収録で発覚した貴族院の「学生」……。

「中領地の騎士A、これ、実は少年でした。若い声、お願いします」
「……そっかぁ。……うーん、できるかなぁ……」

音響監督さんの申し訳なさそうなお願いに苦笑しつつ、井上さんがやってくれました。中領地の騎士見習い。

「若い! バッチリだよ!」
「すごい、すごい!」

音響監督さん達スタッフの方が興奮気味に手を叩いて大喜びし、井上さんが「よかった……」と小さく安堵している中、私や國澤さんはのほほんとした反応。

「おぉ、若いですね」
「へぇ、井上さんってこんな声も出せるんですね」

反応の鈍い我々に対して、録音さんがその貴重さを興奮気味に教えてくれました。

「いやぁ、昔の声と変わらないってすごいんですよ。今になって井上さんの少年声を聴けると思わなかった。簡単に聞けるものじゃないんです!」

なんと、実に貴重な声をいただけたようです。いぇい!
井上さん、ありがとうございました!



○諸星すみれさん

その後は、アニメ『本好きの下剋上』では第一期、第二期共にOPを歌ってくださっている諸星すみれさんが入ってきました。今回もまたハンネローレ役とレオノーレ役を演じてくださいます。前回のドラマCDでは別日に抜き収録だったため、私が諸星さんの収録に立ち会うのは初めてです。

まず、テスト開始。
おっとり可愛いハンネローレの声ですが、ちょっと幼すぎる声だったので少し年齢を上げてもらいました。そういえば、前回の収録から考えると、キャラの年齢も上がっているんですよね。
それ以外は特になし。

「○ページ、『私』になっているので『わたくし』に修正お願いします」
「×ページ、突然フェルネスティーネ物語が出てくるので、最初に『ローゼマイン様からお借りした』という言葉を挟んでいただいていいですか?」
「×ページ、ローゼマインのモノローグをそのまま持ってきているので『男』になっていますが、ハンネローレのセリフとしてはちょっと微妙なので『殿方』に修正してください」

脚本側の修正くらいで、諸星さんにお願いする修正点は特にありませんでした。
先に収録しているジークリンデの挨拶に合わせて喋るのも、特にズレがなく一発OKです。
すごく技量が高いと思いました。
今回のドラマCD5では準主役で結構セリフが多い方なのですが、サクッと終わりました。

ハンネローレが終わると、レオノーレです。こちらはハンネローレと違って、キリッとしていて素敵なお姉様とか、キリッとした秘書みたいにできる女の雰囲気でお願いしています。戦いの場面も勇ましくて良かったです。
特にミスらしいミスはなく終了。

ガヤ収録も行いましたが、笑い声のハンネローレとレオノーレの切り替えがすごいと感心している間に終わりました。

上手い、早い、可愛いの三拍子。
すごいね。

「お疲れ様でした」
「お疲れ様です。そういえば、私に届くメッセージの中にOPがすごく良いって意見がいくつも来ていましたよ」
「わぁ、嬉しいです。ありがとうございます」

あの難しい歌をよく歌えるなぁって私の周囲では非常に感心されています。家のカラオケで流してみたけど、マジ難しいですもん。好きだけど、歌えない。何度も聞いたのに歌えない。
皆様は歌えますか?



○本渡楓さん

次は本渡楓さん。シャルロッテ役とアンゲリカ役を演じてくださいます。本渡さんは待機中に座っている時の姿勢がすごく良いのが印象的でした。背中がピッと伸びていて、台本と向き合っている横顔と真剣な目がとても綺麗なんですよ。

そんな私の個人的な印象はさておき、シャルロッテは前回と同じなのでそのまま収録していきます。次回の収録ではもうちょっと年齢を上げても良いかな? と感じました。

「○ページ、元気になったローゼマインを見た時のセリフ、もうちょっとホッとした感じが欲しいな」
「すみません。こちらのミスです。『考えられて』を『考えて』に修正してください」

それほどセリフも多くないので、あっさり終わります。
いやぁ、それにしてもお姉様大好きなシャルロッテは可愛いですね。ディッター中にヒルシュール先生に説明するちょっと得意げな響きがすごく好き。

シャルロッテが終わると、アンゲリカの声を作っていきます。勉強嫌いで強くなることで頭がいっぱいの残念美少女な護衛騎士。

「凜々しすぎますね。今回は戦いの場面じゃないので、もっと儚げ美少女感が欲しいです」
「わかります。アンゲリカにはもっとこう、天然ボケというかほわっとした感じで……」
「普段と戦う時のギャップが欲しいんですよね」

私、担当さん、國澤さんの感想を音響監督さんが上手くまとめて伝えて再テスト。

「おぉ、めちゃくちゃ儚げ美少女になりましたね」
「なのに、中身は脳筋。完璧ですよ」

アンゲリカの美少女声、ご期待ください。めちゃくちゃ可愛いですから。
あぁ、第三部もアニメ化してほしい。そうしたら、この声で動くアンゲリカが見えるかもしれないのに……。

声さえできれば、すぐに終わります。
本渡さんにもいくつかガヤ収録に協力していただきましたが、こちらも特筆すべきことはないまま終わりました。



○潘めぐみさん

最後は新しいキャストさん。ディートリンデ役とイージドール役を演じてくださる潘めぐみさんです。

音響監督さんの「まずはディートリンデから行くか」という声により、テスト開始です。
一通り聞いてみて、うーん……。ちょっと困った感じにお色気ムンムンの我儘女という感じの声です。こういう解釈もあるのかもしれませんが、私のイメージとはかなり違います。

「20代半ばくらいに聞こえますね。15歳には聞こえません」
「あと、口調がねちっこすぎます」
「了解。もっと抑えめでやってもらうか」

再度テスト。年齢は綺麗にあったけれど、やっぱり口調に残るねちっこさ。

「すごくお色気系って感じですが、別に色気なんていらないんですよ。ディートリンデはストレートに素のまま。今のところは特に何も考えていなくて、ただひたすら我儘なだけなんです」
「じゃあ、いっそ普通にした方が良いかもなぁ」

音響監督さんからの指示が「普通にやってみて」になりました。
そうすると、いきなりディートリンデになりました。
もしかして意外と演じにくいキャラなのか? そんな気分になりました。

「○ページ、修正お願いします。『ダンケルフェルガーのジークリンデ様』を『ダンケルフェルガーの第一夫人』に」
「×ページ、『どちら』ではなく『どなた』だな」

声ができれば修正はほとんどなく、スラスラと進んでいきます。
うわぁ、素でこんなことを言われたらダンケルフェルガーの二人が反応に困るわけだよ。
そんな気分になれるディートリンデになりました。

次はイージドール。ヴィルフリートの上級側仕え見習いです。
思わず「イージドールは少年ですよ。大丈夫ですか?」と心配してしまいましたが、可愛い系の少年に仕上がりました。
潘さんはディッター中のガヤにイージドールで参加してくださっています。

「悪いけど、女性騎士の声も欲しいから、ここはイージドールと二種類よろしく」

多くの声が欲しいところでは二つの声を駆使してくださいました。
お見事。



こうして、二日目の収録が終わりました。
予定していた通りの時間にピッタリ終了。タイムスケジュールを作った方の手腕にも拍手ですね。

私は仕事の都合上参加できませんが、三日目の収録は梅原裕一郎さんと関俊彦さんのお二人です。

梅原裕一郎さんはマティアス役とラールタルク役。他にもダンケルフェルガー騎士などをいくつか演じていただきます。
とうとうドラマCDでは本役であるダームエルの声がなくなってしまいましたね。でも、アニメでは第二十四章、第二十五章で活躍してくださいました。皆様、観ました?
柔らかくて良い声だったでしょう? もっと聴きたいって思ったでしょう?
まだシキコーザにやられっぱなしで、ここからカッコ良くなっていくのに……というところで終わっているところがまたダームエルらしい。不憫です。
アニメも続きますように。

関俊彦さんはユストクス役とハイスヒッツェ役です。他にも中央騎士団の騎士も演じてくださいます。
ユストクスは前回のドラマCDやアニメの外伝で演じてくださったので問題ないでしょう。
ハイスヒッツェはダンケルフェルガーの騎士です。フェルディナンドの(自称)親友です。口癖は「ディッターしようぜ」。
ルーフェンほどの熱血ではないけれど元気溌剌。冷たくされても遊んでもらおうと尻尾を振って駆け寄る大型犬みたいなイメージです。
ディートリンデがヴェローニカの孫娘だと知る前後に差が欲しいですね。元気溌剌→貴族らしい取り繕いって感じで。きっと上手く演じてくださると思います。
それから、急遽増えたグードルーン。ユストクスの女装した姿ですね。
グードルーンにわざとらしいオカマっぽさはいりません。あくまで、仕事として女装しているので関さんに貴族女性らしい声(30代後半)を出していただければ……と個人的に思っています。
どんな感じになるんでしょうね。
ああぁぁ、そわそわする。私もアフレコに行きたいです。
うずうずしますが、三日目のアフレコは鈴華さんと國澤さんのイメージにお任せです。
三日目がどんな様子だったのか、鈴華さんのアフレコレポに期待したいと思います。

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